消費税の免税点制度・
簡易課税制度の改正への対応
来年(平成16年)4月から、消費税の免税点制度と簡易課税制度の適用上限の引下げが行われます。この改正で、免税点制度が適用できなくなるのは136万社(者)、簡易課税制度を適用できなくなるのは56万社(者)に上るとみられており、大きな影響が考えられます。
免税点制度・簡易課税制度の改正ポイント
(1) 適用上限の引下げ
[免税点制度]
従 前 |
「課税売上高3,000万円以下」 |
↓
改正後 |
「課税売上高1,000万円以下」 |
[簡易課税制度]
従 前 |
「課税売上高2億円以下」 |
↓
改正後 |
「課税売上高5,000万円以下」 |
(2) 適用時期
免税点制度・簡易課税制度の改正が適用される時期は次のとおりです。
法人 ・・・ 平成16年4月1日以後開始する課税期間
個人事業 ・・・ 平成17年1月1日以後開始する課税期間
(3) 適用の判定
免税点制度・簡易課税制度を適用できるかどうかの判定は、基準期間(法人:前々事業年度、個人事業:前々年)の課税売上高によって判定します。具体的には次のとおりです。
法人 ・・・ 平成14年4月1日以後開始する事業年度の課税売上高で判定。
個人事業 ・・・ 平成15年(平成15年1月1日から同年12月31日)分の課税売上高で判定。
免税点引下げの影響は?
課税売上高が1,000万円超3,000万円以下で、これまで免税事業者だったところは課税事業者になり、消費税の申告納付が必要になります。次の点に留意しましょう。
(1) 本則課税か簡易課税かどちらが有利か?
簡易課税を選択できるので、本則課税と簡易課税とではどちらが有利かをシミュレーションする必要があります。
本則課税には、後述と同様な実務負担が伴うので、それを考慮しなければなりません。
(2) 申告納付に伴って負担増に
消費税の申告納付に伴い、経理事務等が増えます。また、新たに消費税を納めなければならないので、納税資金を準備する必要があります。
(3) 消費税を販売価格に転嫁するか?
消費税を販売価格に上乗せして転嫁できるかどうかも含めて、価格戦略を見直します。
<ポイント>
基準期間の課税売上高を計算する場合、その基準期間の初日が施行日(平成15年4月1日)前で、かつ、その基準期間の課税売上高を計算することに困難な事情があるときは、同15年10月1日から同年12月31日までの課税売上高を4倍した金額を基準期間の課税売上高とすることができます。
簡易課税制度の適用上限引下げの影響は?
これまで課税売上高が5,000万円超2億円以下で、簡易課税制度を選択していた事業者は、平成16年4月以後に始まる事業年度からは、原則どおり消費税を計算する本則課税に移行しなければなりません。該当する事業者は、次の点に留意しましょう。
(1) 納付税額の増加の可能性
簡易課税のみなし仕入率適用による優遇がなくなります。それに伴って法人税は減少しますが、消費税が増えることが予想されるので、納税対策が必要です。
(2) 日々の正確な記帳が必要
帳簿および請求書等には、それぞれ記載されていなければならない事項があります。不備があれば、仕入税額控除ができず、その分だけ多く消費税を納めなければならなくなります。日々正確にきちんと記帳し、受け取る請求書等については記載事項に漏れはないかチェックしましょう。
(3) 帳簿および請求書等を整理保存すること
消費税法では、帳簿および請求書等を7年間保存しなければなりません。もし保存していない場合、仕入税額控除が認められません。また保存する場合は、すぐ取り出せる状態に整理しておく必要があります。
<改正に伴うケースごとの主な届出書>
ケース | 提出すべき届出書 | 提出期限など |
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消費税課税事業者届出書 |
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消費税課税事業者 選択届出書 |
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消費税簡易課税制度 選択届出書 |
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消費税簡易課税制度 選択不適用届出書 |
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